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バットマンと魔女

教室に戻ると、みんな仮装して
楽しそうに写真の撮り合いをしていたので
気付かれずに私もその中へ溶け込んだ。

最後に教室の黒板の前で記念撮影。
先生を真ん中にして全員で並ぶ。

「はい、撮るよー!」

私は黒いワンピースに赤いリボンを頭にのせた
魔女の衣装で端の方に立っていると
バットマンが私の肩をぐっと引き寄せたので
そのまま腕の中に収まるような形になる。

「チビがそんな所じゃ写らないだろ!」

先生を囲むようにみんなが寄せ集まったので
私と春樹はさらに体をぴたりと重ねて写った。

撮影が終わると、春樹はその手を離す。

「この後、美咲も後夜祭出るだろ?」

「うん。そのつもり。」

「……悪かったな。」

「え、何のこと?」

「ほら、啓太のこと。
実はあれからどうなったのか気になってた。」

「あ…。」

春樹が悪い訳じゃないのに
本当のことを言ったら、思い出してまた泣いてしまいそう。
だから、私は奥歯を噛み締めて我慢した。


周りのみんなは、この後に待っている後夜祭に心を踊らせて騒いでいる。
 
「あのさ、俺……。」

その中で、かき消されそうになる春樹の声。

表情を強張らせたので
何を言うのか気になったけれど
春樹がその続きを言う前に
タイミングよく優香に呼ばれて話が完全に遮られた。

「美咲ー!!ハルくーん!!
早く後夜祭行くよー!!」

「はーい。すぐ行く。
あ、ごめん。今何か言いかけたよね?」

「あ、いや。俺も後で行くから行きなよ?」

「……分かった。」


結局、私は春樹が気になりながらも
待ってくれている優香と佳澄の元へと駆け寄った。




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