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夜の準備室

学準備室のドアの上にあるガラスから
静かに明かりがもれている。

そして、なぜかこの中にいるのは
先生だけのような気がした。

とても緊張しながら扉を叩いてみる。

「はーい。」

いつになく低い声。

ゆっくりと扉を開け
様子を伺うように顔だけ出して中を覗いてみると
やっぱり先生しかいなかった。


「なんだ青山か…。」

「なんだって…。
入ってもいいですか?」

「どうぞ。」

忙しそうにしている先生は
私を追い返すでもなく、黙々と仕事を続けている。


「先生?
こんな時間に来て、早く帰れって怒らないんですか?」

「何かあるから来たんだろ?
とりあえず座れば?」

チラッと私を見ても手は止まらない。

「それとも、帰れって追い返されたい?」

イタズラな顔を覗かせる先生。

「い、いえ…。」


疲れているようにも見える先生は
それでもなんだか穏やかだった。


私はいつもの席に掛け
先生の作業をじっと眺め、この空気に浸る。


「俺に用でもあった?」

「いいえ。
ただ何となく、この部屋の電気がまだ点いていたので。」

心臓がドキドキしている。

「…そっか。」

それに比べ、先生は至って普通。

「先生は、まだ帰らないんですか?」

「もう少ししたら帰るかな。」

「じゃあ、それまでここにいてもいいですか?」

「だめ。」

「えっ。」

「うそ。
もう誰も来ないと思うけど
こんな時間まで残らせていたら俺が怒られるだろ?」

「…ですよね。」

さすがに帰らないと……。


「まー、その時は怒られればいっか。」

先生は言い訳は何とでもなるからと言って
表情を緩めた。




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