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いつもと違う先生

その姿は、普段学校で見る姿と違って
髪も無造作で随分ラフな感じの先生。

しばらく待っていると、また戻ってきた。


「お待たせ。青山甘いの好き?」

「あっ、はい…。」

「お昼だし食べに連れてってもいいんだけど…
もし誰かに見られたら、青山が困ることになるからな。これで我慢してくれ。」

そう言ってドーナツの箱を持たせてくれる先生。
しかもたくさん買ってきてくれた。


「いつも手伝ってもらってるから、そのお礼も兼ねて。
帰ったら食べて。」

「…ありがとうございます。」

「でも、送ってやれなくてごめんな。」

「いえ、そんなつもりは。」

生徒と教師は、外で二人でいることも許されない。

「じゃあ、俺もう行くわ。」

先生はいつもと変わらず笑顔なのに
複雑な感情を覚えるのはなぜだろう。

学校でいる時よりも慎重で
先生はよからぬ噂が立つことを懸念していた。


「気を付けて帰れよ!また学校で。」

「ありがとうございました。」

私は頭を下げ、お礼を言ってその場を去った。




そして家に帰ると、母がお昼ご飯の支度をして
待ってくれていた。

「あら、ドーナツ買ってきたの?」

「う、うん……。
あとで映画観ながら食べようと思って。
たくさんあるからお母さんも食べていいよ。」


咄嗟に自分で買ったような嘘をついてしまい
意味もなく…、切なくなる。



この日は、なぜか先生のことを何度も思い浮かべていた。
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