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ラブレター

暑くて溶けてしまいそうなある日。

先生に質問したいことができたので、補習前に準備室を訪ねてみることにした。

夏休みに入ってからは準備室へ行っていない。
突然来たら先生驚くかな、と想像しながら階段を掛け上り廊下を曲がる。


すると、準備室の前にいる女子生徒と伊藤先生の姿が目に入った。

なぜか私は咄嗟に壁際に体を隠した。

先生は笑いもせず、女子生徒から何かを受け取っている。
そして、2人で少し話した後、女の子はすぐ去って行った。

ほんの数秒のできごと。

偶然通りかかっただけなのに、なんだか見てはいけないものを見てしまったような罪悪感が残る。

私はどうしていいか分からず、このまま戻ろうとしたその時、背後から先生に呼び止められた。


「青山どうした??」

「あ、いえ…。」

「質問か?」

「…別に…何でもないです。」

「まぁー誰もいないし入れば?」

先生がゆっくりと私の方に近付いてきた。


部屋へ入ると、先生は手に持っていたテキストや資料と共に、手紙らしきものを机に置いた。


「先生…もしかしてラブレターですか?」

「あー…だろうな。」

「なんだかこういうの慣れてる感じですね…?」

「まぁー時々あるからな。
こんなただのおっさんでも、生徒からすれば年上ってだけでよく見えることもあるんだろ?」

先生にとっては驚くほどのことでもないのか
パソコンに電源を入れ、ペットボトルのお茶を飲む姿にさえ余裕を感じる。


「先生は生徒を好きになったりしますか?」

「あのなー…」

ため息混じりでそういうと、先生は呆れた顔で私を見つめた。




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